山南町の神社は桧皮葺きのものが多いと、 よそからの見学者は言う。 ここは昔から桧皮葺きの伝統工芸士が多く、 全国でも名だたる地域である。 金屋の小高い所に加茂神社がある。 本殿および小社とも桧皮葺きである。
往時、 鉄などの鉱物資源を求めて出雲系の人々が全国を渡り歩いた。 彼らも、 ここから小川地区の石龕寺方面に探索を行ったものと思われる。 その名残が金屋という地名と加茂神社という名に残っている。
神社の表から、 遷座していった親元の高座神社が遠望できる。 こぢんまりした本殿には、 竜の彫刻はもとより、 唐破風(からはふ)には鳳凰が翔び、 唐獅子や象の聖獣も見られる。 8代目・中井正胤の作と考えられる。 なお、 県文化財である高座神社の彫刻群は平成27年完成予定で修理が進み、 彫刻師として長谷川某の銘が見つかったと言われている。
元高校教諭 岸名経夫