丹波市市島町上田の天満宮から下ってきた左手の小高い所に済納寺がある。 庭園も手入れがよくされている。
ここの山門の木鼻(きばな)に垢抜けした、 唐獅子と象の彫り物が目につく。 さらに中央に立派な竜の彫刻がある。 風化もあまり受けず美しく残っている。彫刻師柏原中井橘正実の銘がある。彼は6代目正貞の甥(おい)である。 直系の8代目正胤とは、ほぼ同時代に活躍した彫り物師で、ほかに福知山市三俣の生野神社にも立派な作品を残している。
さらに、 本殿には中央の柱にすごみのある竜の彫り物が二対あり、 得も言われぬ飴色をしている。 脇の唐獅子の彫刻も 『すばらしい』 の一言だ。 上田八幡宮から遷座した明治31年頃に制作されたものと考えられる。
元高校教諭 岸名経夫