創建時は不詳。 弘仁4年 (813)、 嵯峨天皇より勅額を下賜された古社。 東芦田への道をたどると、 左前方に鎮座する神社が目に入る。 境内から俯瞰すれば、 氷上の山並みや田畑が真下に広がってくる。 柏原藩主織田信憑 (のぶより) が心をここに寄せたのもむべなるかなと思われる。
この社は、 やや長い拝殿と本殿からなっており、 拝殿の3カ所の梁にそれぞれに竜が彫られている。 左右に竜の彫刻があっても、 前後に3頭のそれがあるのはここだけである。 前座、 中座、 後座と分け、 前座には精緻な竜、 その下には麒麟が躍動している。 中、 後座の竜は梁に纏 (まつ) わりついている。 高座神社の三座の竜とでもいうべきか。
ここの狛犬がきわめて特徴的である。 顔は犬ならぬヒヒに似ている。 久下村谷川の綿貫重吉の昭和初期の作品であり、 石は柏原の新屋石である。 一見に値するユーモラスな霊獣だ。
元高校教諭 岸名経夫