創建は大化年間 (645年頃)、 法道仙人による古刹。 その後、 文保年間 (1317年頃) に文保寺と改められ、 天正年間に再建された。 市内でも最も古い寺院の一つである。
最盛期には21の宿坊があったが、 現在は塔頭寺院として、 3坊が残っている。 狭い道を登り、 石段を上った所が拝殿、 本殿である。 涼気あふれる寺域である。
すぐ目に入ったのは、 正面の拝殿の扉に多数の彫刻があることだ。 全部で12枚を数える。 よく見ると中国の神仙説話をもとにしての彫り物がされている。 こういうスタイルはほかには見たことがない。 牛を連れた仙人、 馬に乗ったり、 樹林の下で黙想する仙人、 唐獅子牡丹、 そして定番の竜等々。 向背には6代目正貞の宝珠を真ん中に抱えた立体感溢れる竜、 その上には獅子噛が唐獅子を従えて睨んでいる。 躍動感あふれる彫刻である。 何よりも、 保存状態が良い。
元高校教諭 岸名経夫