創建天平年代、 行基、 高野山真言宗。 小原集落から奥まった所にある、 多彩な設 (しつら) えがそこここに見られる、 それでいて誠に癒される雰囲気の漂う寺院である。 特にここは但馬の7つの花の寺の1つとして、 6月から8月ごろまで、 千株を超える桔梗の花が咲き乱れ、 別名桔梗寺として有名である。
境内へ入って右手やや奥の太師堂に、 柏原の彫り物師、 中井一統の7代目、 中井権次橘正次の彫刻が目に入る。 この地は、 雪深く風雨に晒されるのか、 御堂、 彫刻ともに傷みがひどい。 彫刻の数は正面、 向拝の竜、 そして木鼻の定番と言っていい唐獅子と獏の彫り物が主として目に入る程度、 ほかに小さな彫り物が散見されるくらいである。 この竜の裏面の銘に面白い発見をした。 中井丈五郎橘正次とある。 5代目正忠の名を入れている。 5代目である祖父に対する追憶と尊敬の念を表したかったのだろうか。
元高校教諭 岸名経夫