『徒然草を読む』

2015.02.14
丹波春秋

 柏原厄除大祭が終わると、厳しかった寒さも次第にやわらぎ、暖かくなるといわれる。春までそう遠くないことを思う。『徒然草』を著した兼好が言ったように、まさに「四季は、なほ、定まれる序(ついで)あり」だ。季節の移り変わりには決まった順序がある。▼『徒然草を読む』という本がある。旧制柏原中学校(柏原高校)出身で、医師であり、歌人、作家でもあった上田三四二氏が徒然草を読み取った本だ。▼上田氏は、柏原中時代に教科書で学んだ徒然草は、教訓めいた内容で退屈だったという。しかし、40代にがんに侵され、その後も再発するなど、「この世の果てをうかがうような事柄に立ち会って」、徒然草の言葉が心に入ってきた。▼兼好は四季には順序があるが、「死期は序を待たず」という。死は順序もなく突然やってくる。このように人生は有限であり、明日知れぬ命だからこそ、「存命の喜び」をかみしめなければならない。「先途なき生」。それが徒然草の本旨だと、上田氏は書いた。▼上田氏の小説『祝婚』に、「残された日の量(かさ)は測りがたかったが、一日生きれば一日は余禄であり、恩寵であった」とある。兼好のいう「存命の喜び、日々に楽しまざらんや」さながらだ。この小説を書いてまもなく上田氏は亡くなった。2月15日は「兼好忌」。(Y)

 

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