大歳神社(丹波市山南町若林)

2015.03.05
中井一統特集

 創建時不詳、 ここの神社の本殿は特に垢抜けしている。 向背の虹梁の上には、 やや線の太い竜の彫り物が目に入る。 そのすぐ下の左右2カ所に、 鑿 (のみ) の彫り鮮やかな兎の彫刻がある。 また、 竜の上の妻飾りには獅子噛が梁に噛みついている。 木鼻には、 定番の唐獅子と獏以外に、 馬足で頭に角が生えた麒麟がいる。 さらに兎の毛通しには、 今にも飛翔しそうな鳳凰が彫られている。 手挟みの華は菊の花で、 素晴らしいの一言。 長寿を祈念する鶴、 亀も目に入る。 角の生えた木造りの狛犬もいる。
 さらに珠玉は脇障子。 たいへん分厚い欅の一枚板に鷹が猿をいたぶっている様子と、 他方には牡丹と唐獅子が立体的に彫り込まれている。 裏に 「当社彫物師栢原町住人、 中井青竜軒」 とある。 5代目中井正忠、 6代目正貞などの合作である。 拝殿は9代目貞胤、また曳山は7代目正次と8代目正胤で、中井一統が殆ど揃うという極めて稀有な組み合わせである。

元高校教諭 岸名経夫

関連記事