磯崎神社(加西市下道山)

2015.04.29
中井一統特集

 創建時不詳。 この地域は、 江戸時代は赤穂藩の飛び地であった。 神社へ上がっていく途中に、 「奥野将監の屋敷跡」 と大きな字で書いてある所に行き着く。 赤穂浪士討ち入りの時、 大石内蔵助に次ぐ第2家老であった。 途中で脱藩したとして、 悪しざまにいわれているが、 京都にいて、 ひそかに討ち入り失敗の際には、 「2つ目」、 すなわち、 第2段としての役割を担っていたと言われている。 地元の人も尊敬の念を抱いていたものと推測される。
 さらに石段を少し登って行く。 きれいに整備された神社が目に入る。 唐破風下の虹梁の上に、 垢抜けした竜の彫り物が目につく。 首をぐっと上方に向けている。 比較的珍しいデザインである。 木鼻には定番の唐獅子と獏がしつらえられているのが普通だが、 ここはすばらしい獏の彫り物だけである。 脇障子には、 中国の神仙説話の仙人が鯉に跨った姿が見える。 背後に、 中井権次正貞の銘が彫ってある。

元高校教諭 岸名経夫
 

関連記事