高野山真言宗。 法道仙人により養老4年(720年)創建の古刹。寺域全山がさながら公園のようで、「花の寺」(あじさい寺)として広く知られている。
寺内の左手の方に、 観音堂が鎮座している。 外側の建物には、 これといった彫り物は目につかない。 右手の入り口から、 住職さんの案内で中へ入れてもらう。 電灯が点いた途端に目を見張った。 欄間に飴色をした巨大な竜の彫り物があるではないか。 堂内正面3面の、 今まで見たうちで最大の欄間である。 その迫力にはこちらが圧倒される。 さらに横の欄間には、 これまた3頭の大きな唐獅子、 さらに別面には、 波の上を飛翔する鶴の姿。
驚いたのは、 天井がすばらしい格天井であったこと。 正面の本殿は折り上げ格天井がしつらえられ、 その下の複雑な木の組み立て物には目を見張った。 この寺院の当時の隆盛がうかがい知れる。 彫り物師は6代目中井権次正貞、 彼の傑作である。
元高校教諭 岸名経夫