創建は室町時代。 山名氏の四天王の一人、 垣屋隆国の菩提寺として阿瀬谷に建立された。 もとは真言宗だが、 現在は格式高い曹洞宗の寺院である。 中国からもたらされ、 阿瀬谷で栽培されていた牡丹を、 江戸初期にここ荒川へ移転後、 住人たちが天保年間に立派な牡丹園にした。 現在は牡丹寺として有名であり、 四季折々、 椿、 桜、 石楠花、 藤、 つつじ、 萩などが咲き乱れる花の寺でもある。
本殿内には県指定の重文で、 江戸後期の絵師・岸岱一門の襖絵36面がある。 重厚な門が目に入る。 三丹一と言われる山門である。 ここにスケールの大変大きな彫り物がある。 格天井と梁の間の狭い空間に竜が一頭と、 馬足と角がある麒麟、 なかなかの迫力だ。 木鼻には定番の唐獅子、 獏、 象がいる。 何しろ部材が大きいので迫力満点だ。 他に小さな牡丹が彫ってある。 なお、ここの海老虹梁は、素晴らしいの一言だ。 彫り物師は、 6代目中井権次橘正貞と思われる。
元高校教諭 岸名経夫