待ち焦がれた声

2015.05.02
未―コラム記者ノート

 4月28日午後7時40分、会社のそばの鎮守の森で「ホゥホー、ホゥホー」の鳴き声が聞かれた。待ち焦がれた声に心が躍った。今年もアオバズクが帰ってきた―。
 アオバズクは、フクロウの仲間で渡り鳥。体長は30センチほどで、ハトぐらいだ。日本へは、中国南部や東南アジアから青葉の頃に渡ってくる。名前の由来はここにある。私のこれまでの記録によると、毎年、初めて鳴き声を聞いているのは4月20日前後だ。
 5月下旬ごろ、古木の樹洞に巣を構えるほか、通風孔を出入口に民家や蔵の屋根裏を繁殖の場に選ぶ新世代アオバズクも少なくはない。6月下旬ごろにヒナが誕生し、親鳥は昆虫や小鳥などをえさにして、せっせと子育てに励む。盛夏の頃、巣立ちを迎え、過ぎゆく夏と共に、再び南方を目指して旅立っていく。
 思いのほか我々の身近で生息している。気にかけていると、夜間、民家そばの街灯に集まる虫を捕食するため、飛び回る姿を見ることもできる。このコラムをしたためている今(午後8時)も、田んぼのカエルの合唱に混じって、近くの鎮守の森から彼らの鳴き声が響いている。(太治庄三)
 

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