宇徳神社(福知山市夜久野町板生田谷垣)

2015.06.03
中井一統特集

 創建時不詳。 府道56号線の穏やかな丘陵地を抜け、 すぐ西側の山裾に鎮座。 静かな神域で広場から一段高く拝殿、 本殿があり、 右手に8つほどの末社が並んでいる。 拝殿には彫り物はないが、 小ぶりな覆い屋のついた本殿には多彩な彫り物が見られる。
 まず向背中央には、 誠に立体感のある垢抜けした竜の彫り物がある。 また木鼻の左右にはこれも鮮やかな定番の唐獅子と象の聖獣が辺りを睨んでいる。 手挟みは一見単純そうに見える雲の彫り物だ。 兎の毛通しには躍動的な鳳凰が今にも飛び出しそうだ。 脇障子には、 よくあるテーマだが、 鷹が猿をいたぶっている様子が彫られている。
 しかし、 何といってもここで目につくのは、 1対の木彫りの狛犬である。 高さは30から50くらいのものだが、 柏原の八幡宮のそれと双璧である。 明治8年頃の7代目中井権次正次の逸品である。

元高校教諭 岸名経夫
 

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