満足感励みに栗栽培
篠山農業高校在学中からトマト栽培に精を出し、研究大会に出場するなど「なりもの栽培」が好きだった。好きが高じ、30年ほど前、山南中学校の近くの雑木林を開墾。70のクリ園を経営する。今年、JA丹波ひかみの丹波栗生産組合長に就任した。
丹波栗のブランド化を進めるとともに、栽培農家の経営安定にと、量を集め、有利販売につなげる生産組合の設立に準備段階から携わった。組合は4年目。組合員は設立時の1・5倍の200人弱にまで増えた。
行き届いたせん定など、栽培努力を評価する「特選ぐりほ場」の認定、「銀寄」「筑波」など品種別出荷による高級化を進める一方で、これまで未出荷だった人たちが3、5と出荷し、小遣い稼ぎをできるようにと、間口を広くしてもいる。「立派なクリは高価で、菓子店にはLくらいの小ぶりのものが喜ばれる。出荷されず、近所に配っていたサイズのものも換金作物になった」と、組合ができた効果を喜ぶ。
今秋、生産組合の展示園を旧町域ごとに作りたいと考えている。栗を食べに来た人に「どこでなってるの?」とたずねられた時に案内できるようにだ。また、組合員のみを対象にした品評会も開きたいと考えている。
シカに荒らされていないか、1日に1度は必ず園を見に行く。「時間があったらクリ園に行くので『80歳近くにもなって。他の人はもっと落ち着いとってやで』と妻に笑われる」と相好を崩す。秋のクリ拾いは「撒いたぐらい落ちる。苦しみ」と苦笑い。大粒のクリがなった時の満足感、「あれだけ世話しておいて良かった」という気持ちを味わうのを楽しみに、栽培を続けている。79歳。