あれから1年

2015.08.06
未―コラム記者ノート

 間もなく迎える8月16日。丹波市を襲った豪雨災害から1年が経とうとしている。当時の写真を見ていると、あのとき感じた複雑な思いが鮮明によみがえって来る。
 落橋した八日市橋が12日に供用開始を迎えるように、被災集落は元の姿を取り戻しつつあるのかもしれない。積み上げられた土砂は減り、家屋の修復を終えて生活を始めた家庭もある。しかし、今も元の家に戻れない人もいるし、山林や山裾の農地に目を向ければ、様子は違ってくる。
 つい最近、被災者の男性に被災農地や山林を案内してもらった。土砂が入ったままで使い物にならない農地。数えきれない木が倒れたままになっている山林。まるで時間が止まったかのように、災害当時の姿をとどめていた。男性が「ここは昔、こんなんやなかったんやけどね」と言った言葉が重くのしかかった。
 丹波新聞では、本号から特集「被災地の今」の連載を始める。あらゆる立場の人に当時を振り返ってもらい、この1年で何を考えたのか、そしてこれからのことを語ってもらう。「問題は今も山積み」というのが正直な感想だ。(田畑知也)

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