ほぼ自給のぜいたく

2015.08.29
未―コラム記者ノート

 日役で、12軒で共同利用している山水の貯水タンクの掃除をした。前日から水を止め、空にしたコンクリートのタンクの中に入ると、底に5ミリほどチョコレート色をした泥がたまっていた。2年間でわずかこれだけの量。原水の濁りの少なさの表れだ。
 村外れの岩盤からわく水を炭を入れた網を通して水源のタンクへ引き込み、下流へ500ほどパイプを引いて今回掃除したタンクに貯め、各世帯に配水する。うちはボイラーを通る水は市の上水道、そうでないのは山水で、蛇口をひねって飲むのは山水だ。青垣の上水道は、嫌なニオイも少なく、おいしい部類だろうが、甘味がある山水には及ばない。山水はピロリ菌感染源の一つと言われており、安全面では劣る。
 風呂、散水、トイレの洗浄水に上水道を使っているが、基本料金を超えることはない。年会費3000円から日役の弁当代、ビール代などを差し引いた残金を積み立てに回す。山水の使用料はないも同然。水をほぼ自給できる自然の恵みを実感できる暮らしは、お金の節約以上に、ぜいたくな気持ちになれる。(足立智和)

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