平和の重み

2015.08.08
未―コラム記者ノート

 夏の甲子園大会が始まった。学校まで取材に行った滝川第二、比叡山の丹波球児が入場行進でテレビに映るのを感激しながら見ていた。
 開会式の主催者あいさつで朝日新聞社長が、今年は高校野球100年、大会は97回という誤差の理由―太平洋戦争による中断―に触れた。そして、1年前はいつ死ぬとも分からなかったのに、野球ができて夢のように幸せだったと、玉音放送からちょうど1年後に開幕した第28回大会に東京代表で出場した、元球児の述懐を披露した。高校野球の復活は、平和と自由な時代の到来を実感させるものだった、と。世界大会の都合で日程が前倒しされ、70回目の広島原爆忌と重なった開会式に、平和の重みをひしと感じた。
 午後から調べ物をしていて、「村誌」に戦没者名簿が掲載されていることに気づいた。集落名、階級、亡くなった場所が一人ひとり書いてある。20代、30代の中に、少ないが10代も見られる。日ごろ接している見慣れた姓が並んでいて、はっとさせられた。朝の甲子園開会式と重なり、戦没者の名前を記した活字が、非常に生々しく感じられた。(足立智和)

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