三坂神社(三木市細川町豊地)

2015.10.29
中井一統特集

 三木から三田への途中、 豊地の交差点を右折したところに鎮座する延喜式内社の古社。 大きな拝殿。 その背後に東社殿と西社殿がある。 祭神は東が日本武尊など6神、 西は大国主命など3神である。 創建時不詳。
 拝殿の内部には、 左右に欅材の波と兎の竹生島文様の垢抜けした彫り物がまず目に入る。 東社殿の向背を見て驚く。 これまで見てきたのと違う雰囲気の大きな竜だ。 じっと目を凝らす。木目が粗い。初めて松材を使った竜の彫り物に出会った。 出来栄えは素晴らしいの一言。肘木鼻の獏、手挟みの横の唐獅子以外も松材だ。 西社殿に目をやる。ここは、もっと松材が使われている様子だ。手挟みの飛龍、鶴、海亀、脇障子の鷹が猿をいたぶる図もそうだ。蟇股の唐獅子親子の松の木目が鮮やかだ。 天才肌の中井権次橘正貞に似て、 進取の心強い弟の中井清次良橘正用の晩年に近い1850年代の画期的な彫り物とみて感じ入ったものである。
元高校教諭 岸名経夫
 

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