氷上町の西小学校裏手山裾に鎮座する神社。 創建時不詳。 祭神は菅原道真。 石段を登って行く。 比較的こじんまりした中にも、 厳かな雰囲気が感じられる社域だ。 左手には稲荷神社もある。
彫り物を探してみる。 大きな竜の彫刻は見当たらない。 しかし、 社殿の上部には数々の彫り物が見えてくる。 肘垂木には、 左右側面にそれぞれ4頭の竜、 背面のそこには2頭の竜、 蟇股には長寿を祈念する優れた鶴亀、 木鼻にはおとなしい風情の唐獅子と獏、 肘木鼻には象の聖獣や兎も見える。 脇障子も興味を引く。 右側には尉と姥、 左側には伝説の菊慈童が、 夫婦で水瓶を中心にして長寿を願っている姿が見える。 社殿階段手すりの擬宝珠下の銅板には、 安永5年 (1776) に地元の有力者が社の再建を願い出た銘が刻まれている。 4代目中井言次君音の作であり、 当時26歳であった倅の5代目中井丈五郎正忠が助手を務めたと思われる。
元高校教諭 岸名経夫