後ろ姿に決心

2015.10.31
未―コラム記者ノート

 奴の後ろ姿を確認したときは背筋が寒くなった。まさか、まさかと思っていたことが一気に現実の問題として目の前に現れた。奴の名は、「イタチ」。
 トコトコという天井を走る音は10月頭ごろから聞こえていた。それは決まって朝方で、夜に野山で遊んだ後、朝帰りしているらしい。
 具体的に動かなかったのはこの目で見ていなかったからだが、早朝、ガレージに置いているごみ箱の上を駆ける茶色い後ろ姿を確認し、対策を打たねばならないと決心した。天井にいるだけならまだしも、糞尿はするし、子育てをすることもあるらしいからだ。
 ところが調べてみると、基本的に狩猟期間中しか捕獲してはならず(雄のみ)、それも罠を仕掛けるためには免許が必要とのこと。人家に入り込んだ場合は、追い出して侵入した穴をふさぐ。なかなか容易ではない。
 命を取るつもりはない。ただ出て行ってくれればいい。とにかくまた見かけたら大声で説得してみるしかない。終わりのない本物の「イタチごっこ」だけは避けたい。(森田靖久)

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