祭神、大山祗神。創建は欽明天皇2年(540年)、山宮と称せられる古社である。境内が道路わきの入り口より下にある珍しい下り宮の形式である。下に降りていくと、植生の大変豊かな社叢が大きく広がっている。市の天然記念物に指定されている。
ここに、立派な拝殿(入母屋造)と本殿(流れ造)が鎮座している。まず目に入るのは、唐風屋根の上にしつらえられた大きな獅子噛み、その下の兎の毛通しには、鳳凰が大きな羽を広げている。すぐ下の向背には、迫力満点の、左上方を睨んでいる竜が目に飛び込んでくる。またその上には力士が屋根を支えている。脇障子は、但馬地方に伝わる土蜘蛛退治がテーマだ。本殿は覆屋で保護され、彫り物はその当時の色彩を色濃く残していて飴色が美しい。ここにも獅子噛、力士、唐獅子、獏もいる。蟇股には戦う武人の姿のオンパレードだ。8代目中井権次橘正胤36歳頃の秀作である。
元高校教諭 岸名経夫