海音山長谷寺(美方郡香住区無南垣)

2015.11.19
中井一統特集

 佐津地区を海辺に向かって狭い道を車を走らせる。左方に寺院が現れる。一見中国風の山門をくぐって客殿に向かう。創建は天平8年(736年)、聖武天皇の勅願による。約200年後の醍醐天皇の代には大暴風により一山が壊滅し、天正年間に現在の地で三尊、すなわち薬師如来、聖観音、十一面観音をまつって寺門は栄えている。近くの大乗寺とは関係が深い。現在は高野山真言宗の名刹である。
 ここの本殿の欄間2面に大きな2頭の左右睨み合った阿吽の竜がある。立体感があり、迫力満点である。元は1面ずつ分かれていたそうだが、昭和38年(1963年)の豪雪で本殿がつぶれても、竜だけは無事で現在の所にしつらえられ直したと言われている。1856年(安政3年)に柏原の彫り物師、7代目中井権次橘正次が、その前年に亡くなった6代目正貞の冥福を祈り、深い思いを抱いてこの竜を彫ったのであろう。瞑すべきことと思われる。
元高校教諭 岸名経夫

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