月輪山東光寺(福知山市夜久野町額田)

2015.12.16
中井一統特集

 高野山真言宗。平安時代9世紀初頭の古刹。国道9号線、福知山市夜久野町額田地区を少し山側へ入ったところの小高い所に佇む静謐な雰囲気の寺院である。
 石段を少し上がった所の山門の木鼻に、外側を向いて阿吽の竜が辺りを睨んでいる。さらに向背には、狭い梁間ながら、宝珠をしっかり握り、爪を逆立てて、右側を睨んでいる竜がいる。19世紀初頭の山門再建時、5代目中井正忠の彫り物である。本殿に入る。ここの欄間にある彫り物の迫力には驚いた。飴色をした正面3枚には、中央に宝珠を握り、左向きの今にも欄間から飛び出してきそうな竜。左には大きく羽を広げた鳳凰、右側には大きな麒麟が見える。麒麟が主要な場面で彫刻されているのは初めて見る。デザインのバランスが素晴らしい。さらに欄間4枚には、松の木の間を悠々飛翔する鶴、海の上を舞う愛らしい千鳥が見える。6代目中井権次正貞45歳の時の名作である。
元高校教諭 岸名経夫
 

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