淡水魚が好き

2015.12.12
未―コラム記者ノート

 幼いころから淡水魚の飼育が好きで、金魚以外にも近くの川で採集した川魚を飼っていたことがあった。暇があれば図鑑を見て生態や見分け方を知り、今でも気が向けば手に取って眺めている。身近な川の生き物が、どのように暮らしているのか興味があったからだ。
 淡水魚というと地味な体色をしたイメージがあるが、初夏に婚姻色を帯びたオスのオイカワは美しく、熱帯魚にも引けを取らない。中国が原産で、二枚貝に産卵することで知られるタイリクバラタナゴのオスも、虹色の光沢が鮮やか。残念なのは日本固有種のニッポンバラタナゴ。タイリクバラタナゴとの間で交雑が進み、混血という形で絶滅危惧種になっていることだ。
 私がこれまでに近所で採集した多くはコイ科で、ヤリタナゴ、カワムツ、ギンブナ、モツゴ、ツチフキなど。なじみ深いが、絶滅危惧種にも指定されているメダカも確認できた。意外にも多くの種類の魚が息づいていることに驚く。
 そもそも川に行く機会が少なく、淡水魚をまじまじと目にする機会は決して多くないが、水の中には確かな営みがある。(田畑知也)

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