庭先は雀のお宿

2016.01.28
未―コラム記者ノート

 近ごろ、自宅の庭先が騒がしい。年末辺りから、スズメの群れが庭木の茂みに居座るようになった。30羽はいるだろうか。寒さをしのごうと羽毛を最大限に膨らませた丸っこいフォルムがなんとも愛らしい。四六時中、「チュンチュン」と小声で鳴いているが、朝日がさすころ、音量とテンポが増大し、大合唱となる。集団で田んぼに舞い降りると、慌てるように穀物の種子などをついばみ、我々家人がそばを通ると、これまた、慌てるようにして茂みへと舞い戻る。
 冬には多くの鳥たちが群れをなす。これには理由がある。一つにはこの時期、天敵のタカが越冬のため、数多く飛来してくるからだ。見通しの良い枯れ野で暮らしていくためには、一羽でいるよりも複数の目があったほうが生存率は上がるというもの。懸命に生き抜く姿を見ていると、騒がしいからと追い払う気にはなれない。
 厳しい寒さはまだしばらく続くが、間もなく、田んぼの水たまりや水路では、アカガエルやカスミサンショウウオの卵塊が見られるようになる。春の胎動が始まろうとしている。(太治庄三)

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