携帯電話

2016.06.09
丹波春秋

 監禁されていた女子中学生が隙をついて逃げ出し、駅の公衆電話から助けを求めた事件は記憶に新しい。私事だが先日、福知山郊外の初めて訪問する家に車で出かけた際、携帯電話を忘れたため、冷や汗をたっぷりかいた。▼聞いていた目印までは順調だったが、それらしき家がなかなか見当たらない。電話番号は忘れた携帯に入力しているだけなので、とにかく家を探し出すしかない。コンビニがあったので住宅地図を見せてもらい、その名字の家を見つけてたどりついたものの、人違い。▼辺りをうろうろした後、またコンビニに戻って、今度は固定電話(携帯型)を借りて我が社に電話した。社員に、筆者の部屋で携帯を探し、番号を入力している相手の人に自分の現在場所を連絡してほしいと、一から事情を説明して依頼。返事が来るまで受話器を握ってやきもきしていたら、初めは親切そうだった店員さんもだんだん迷惑そうな顔になり、要らぬ高額の買い物までする羽目に。▼訪問先は思っていたのとは違う方角の高台にあり、いい加減に聞いていたことがわかったが、つまるところは携帯に頼りすぎていたための失態。文明の進歩と共に現代人はかくも退歩したのか。▼駅などのない町はずれのコンビニには公衆電話があればと思ったが、虫のいい願いかも。(E)

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