上林街道を辿ると左側に木製の立派な鳥居がある。京都府指定の文化財の神社である。創建は建武2年(1335)、現在の社殿は文化12年(1815)。祭神は応神天皇。
立派な拝殿が目に入る。本殿の彫り物の多彩さとスケールの大きさには、目を見張るものがある。中央向拝には、口を大きく開け、左前方を睨み据える立体感溢れる竜がいる。すぐ下には牡丹と親子の生き生きした唐獅子の姿が愛らしい。木鼻の左右には定番の阿吽の呼吸の唐獅子と獏が目を光らせている。後ろの梁の間にもそれぞれ唐獅子が躍動している。本殿の四隅には象が計8頭もいる。兎の毛通しには大きな鳳凰がいるが、残念ながら首が風化して一部破損している。すぐ下に桐の花も見える。本殿上部には力士像や鶴と亀もいる。左脇障子には宝珠を握って竜が左天空を見上げ、右には翔竜が天駆けそうだ。当社彫り物師栢原町住人中井青竜軒政忠の銘有り。
元高校教諭 岸名経夫