松井拳堂

2016.07.23
丹波春秋

 柏原高校から依頼を受け、先ごろ、2年生に丹波ゆかりの人物について講演した。2年生約260人がこの夏休みに取り組む課題に向けての講演でもあった。▼弊社では一昨年に『丹波人物伝』を出し、先ごろパート2を出した。高校によると、両書で取り上げた人物の中から38人を抽出し、生徒1人が1人の人物について調べ、9月半ばの文化発表会でパネル展示をするのだという。▼折しも、『人物伝』で取り上げた松井拳堂に関する本を柏原町・西楽寺の滝川秀行住職が出された。拳堂は、柏原高校の卒業式に招かれなくても出席し、祝辞を述べたという人物。数々の奇行で知られるが、郷土史家として見事な功績を残した。芯の通った人生観を確立し、それに従って生きた、現代ではまれな異才だ。▼拳堂の著した『丹波人物志』は、兵庫・京都丹波の偉人500人以上を調べた労作。序文で拳堂は、「後進の子弟が感奮して国家有用の人材となれば」と記し、次代をつくる若い人たちの刺激に同書がなればうれしいとした。▼拳堂は学生たちに「天下の大道を闊歩せよ」と訓示し、青雲の志を持つように促している。若い人に大いに期待していたのだろう。拳堂は泉下から2年生たちに同郷の偉人に学び、刺激を受けるよう、エールを送っていることだろう。(Y)

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