夏休みの昼ごはん

2016.08.27
未―コラム記者ノート

 平日の日中、昼食を自宅で食べることがあり、発売から半世紀の隠れたロングセラー「ナポリタンうどん」を作った。製造元が近畿食品から東兵庫魚菜製麺部に変わっても、なつかしい味は健在だ。
 「調理時間1分」と、あっと言う間に作れるのがいい。フライパンに油をひき、麺を炒め、粉をふりかけて混ぜるだけ。野菜や肉など、具を入れるとよりいっそうおいしくなる、と袋に書いてあるが、何も入れない。入れると1分では作れなくなるのと、味が薄くなる気がするからだ。
 粉末の調味料をかけると、麺はピンク色に染まる。酸味がトマトっぽくておいしい。外食をする家ではなかったので、うちではスパゲティと言えば長くこれだった。
 弁当のおかずにもほぼ毎日のように登場した。我が家のソウルフードと言ってもいいくらい。きょうだいそろって好きだ。家に子どもしかいない夏休みは、自分たちでお昼ごはんに作って食べていた。これを食べて遊びに、プール水泳に、部活に行った。「ナポリタンうどん」の味は、子ども時代の平和で、長い、長い夏休みを思い起こさせる。(足立智和)

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