六甲山で

2016.09.24
未―コラム記者ノート

 初めての六甲山登山に挑戦した。阪急芦屋川駅から高座の滝、風吹岩、本庄橋跡を経て、最高峰931を目指すルートを選択。そういうと慣れた人に思われるかもしれないが、選択理由は、「初心者向け」。登山は4回目です。
 最初の茶屋で、腹が減っては戦ができぬと、いきなりカレーライスをむさぼり、いざ出発すると、ロッククライミングのような岩場に、急斜面。登ったかと思えば下り、「どこが初心者や」と愚痴る。
 服が汗でどっしりと重くなったころ、ようやく山頂。狂喜乱舞して、「ヤッホー」と叫ぶつもりだったが、「しんどい」というかすれた声しか出ないほど、ぼろぞうきんのようになっていた。
 道中、「なんでこんなしんどいことを」と自問し、古来、修験者たちは生まれ変わるために母なる山にこもったという話を思い出した。出産にあたる下山時には違う自分として生まれ直すのだという。
 下山後、生まれ変わった様子もなく、足をひきずって歩く。そして、誘われるようにして入った銭湯。その湯にこれまでにないほど感動した。これが生まれ変わりだったのか?(森田靖久)

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