日本書紀の雄略記、丹後風土記などに登場する最古の浦島太郎を筒川大明神として祭ったことが始まりと伝わるが、淳和天皇の代(825年)に創祀された古社である。
当社には重要文化財として、室町時代の浦島明神絵巻(浦島太郎が舟で魚釣りに出かける図)、安土桃山時代の桐、桜、土筆を刺繍した神服などがある。また本殿は最近国の登録有形重要文化財に指定された。
本殿前の拝殿の向拝を見上げる。中央の一見狭い梁間に、風化により顔の所と目の色がやや変色している竜がいる。大きな爪、何といっても“いらか”が素晴らしい。細やかな彫りながら立体的で迫力満点である。裏面にも龍の後ろ姿が彫られているが、やや大まかな彫りの感は否めない。すぐ上には、竹生島文様の兎が湖面を奔っている。持ち送りの唐獅子と牡丹もいい。本殿再建の1884年、若き彫り物師、8代目中井権次橘正胤の力溢れる作品である。
中井権次研究家 岸名経夫