銅メダリストの凱旋

2016.10.22
未―コラム記者ノート

 リオパラリンピック銅メダリスト、芦田創さんの凱旋に沸いた。快挙を達成した本人は、同級生たちとの懇親会で「銅メダルを取ったからといって天狗になっていない。むしろ、専門種目の走り幅跳びで予選落ちし、鼻が折れたぐらい」とあいさつをしていて、2020年東京大会にかける強い思いを感じた。
 元々400の選手だったが、世界と戦うには跳躍の方が可能性があると専門種目を変えた。この賭けが奏功し、走り幅跳びでパラリンピックに出場できた。パラの4×100リレーの選手は「他の専門種目でパラに出場する選手」の中から選ばれる。幅跳びに変更したことが銅メダル獲得につながった。
 最大の運命の分かれ道は、15歳。腕を切断するかどうかの岐路に立たされた時、「生まれた時から運動制限が続いてきた。どうなるか分からないなら、思い切り走りたい」と意を決して走ったことが今日につながった。自分の力で人生を一歩一歩切り拓く、まぶしいまでの力強さ。
 2020年東京で芦田さんが表彰台の中央に立つ姿を、新国立競技場で見たい。(足立智和)

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