出没相次ぐクマ

2016.11.24
未―コラム記者ノート

 丹波市でツキノワグマの出没が相次いでいると先日、本紙で報じた。私が把握しているだけでも10月1日から11月21日までに、市島町を中心に28件の目撃・痕跡が確認されている。まったく報告のなかった篠山でも18日、藤坂峠で目撃が報告された。森林動物研究センターによると、冬眠前に栄養を蓄えようと、おもに但馬地域から南下してきた個体なのだという。なわばりを持たないため良好なえさ場には、複数のクマが集まってしまうこともあるのだそう。冬眠に入るのは、例年なら12月中旬。もうしばらく警戒が必要だ。
 同センターの調査によると、県内の生息頭数は推定約940頭。20年間、保護対策を進めたことにより絶滅の恐れが当面ない800頭を上回り、それどころか、人身・農作物被害が深まる恐れがあるとして、県はクマの狩猟を解禁した。猟期は12月14日まで。
 取材を通して、幻の動物と思っていたクマが増加傾向にあるということ、1000頭足らずでも人との軋轢が生じてしまうという兵庫県内の自然の懐が意外に浅いことにも驚いた。(太治庄三)

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