前川さんとラオスの布

2016.11.12
未―コラム記者ノート

 本紙日曜日版で「ラオス式知恵袋」を連載中の前川佐知さんが、先日、地元篠山で「ラオスの手作り布展」を開かれた。「ラオスの女性たちと布を作っている」と聞いてはいたが、実物の布を初めて見て、その素敵さに感動した。
 前川さんは、9年ほど前からラオス北部の村に定期的に滞在するようになり、5年前から村の女性5人と布づくりを始めた。今は、篠山とラオスを数カ月ずつ往復する生活をしている。
 ラオスでは、かつてはどの家でも織物をしていたが、経済発展が進み、布を買う人も出てきたそうだ。初め、「日本で布を売ってくれないか」と頼まれた時は断っていたが、「何もしなくても伝統が消えていくのなら、技術だけでも残せないか」と考えが変わったそうだ。
 前川さんが日本で使われている縞の作り方を伝え、デザインの幅を広げた。完成したストールや衣服は、草木染め、手紡ぎ、手織りのぜいたくな布。風合いや色合いの良さに加え、完成までの長い道のりや前川さんとラオスの人たちとの絆を思うと、値段がつけられないほどの価値があると思った。(古西 純)

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