綾部市物部町から東方面へ数キロ行った所の左側の山裾に鎮座する。立派な石段を上がって社殿に進む。辺りは静謐な雰囲気が漂う安らぎの境内が広がる。創祀は延歴15年(796)、本殿は室町期永禄9年(1566)に建立、京都府の指定文化財である。祭神は大国主命。
ここの神社は「タケノコさん」として知られ、作柄を占う筍まつりがある。本殿の裏の御ミノシベ(竹が植えられている地所)の竹を用いる。拝殿向拝は大変賑々しい感じだ。目抜きには色鮮やかな竜が左前方を睨み、“いらか”も繊細で、宝珠も、髭も鮮明である。目の後ろの赤もよく見える。何といっても特筆すべきは唐破風内の筍の乱立しているが調和のとれた彫り物である。タケノコさんの面目躍如と言えようか。部材は竜共々檜である。木鼻の唐獅子と獏、鳳凰の飛翔姿も美しい。昭和初期改修の際の、8代目中井権次正胤の相方和久定吉正則の傑作である。
中井権次研究家 岸名経夫