峰山小学校の前の道を山すその方へ少し行った所の小高い所に佇む寺院である。臨済宗天竜寺派(足利尊氏が夢想疎石の力を得て後醍醐天皇の霊を慰めるために京都に創建した寺院)。ここ峰山の寺院は、江戸時代前期に建立されたものであり、神仏習合の習いとして天満宮が同時に設立され、多くの参拝客で賑わっており、以来350年を超えている。
山門に近づく。中央上部の目抜きに、躍動感溢れる竜が目に入る。左前方を睨み据えている。宝珠を真ん中にしっかりと握り、“いらか”を立て、舌の先も立てている。この彫り物の裏面を見て驚いた。この面にも前部と一体の彫り物が施されている。その技術たるや驚嘆せざるを得ない。彫物師丹州柏原町住、中井権次正貞の朱色の銘が鮮やかだ。木鼻の阿吽の呼吸の唐獅子と獏も目にガラスが入って一層生き生きしている。持ち送りの猿と枇杷の姿もユーモアがあって面白い。
中井権次研究家 岸名 経夫