“奇跡のフジ”美しく 市島・大杉ダム下公園 根がないのに毎年開花

2017.05.13
ニュース丹波市自然

満開のフジの下で食事を楽しむ人たち。手前のフジは根がないが、一部、花をつけている=兵庫県丹波市市島町徳尾で

大杉ダム(兵庫県丹波市市島町徳尾)のふもとにある「ダム下公園」のフジが、根元で幹が切断されているにもかかわらず、花を付けている。地元ではここ数年、“奇跡のフジ”と呼ばれて親しまれており、フジを愛でる人の憩いの場になっている。公園を管理する同ダム自然公園管理委員会の前事務局・森本修三さん(76)は、「根がないのに咲くのは不思議。大事にしたい」と話している。

フジ棚は縦横3×6メートル、高さ3メートルほど。対角線上に計2本のフジが植わっており、うち1本の幹は切られ、根がない状態。根がある方のフジは樹勢良好で多くの花を付けているが、根がない方も花を咲かせ、30センチほどの房を垂らしている。

森本さんによると、以前から同公園周辺にはフジが多くあり、同公園の整備時に伐採したが、当時からフジ棚がこしらえてあった2本は残したという。5年ほど前、一方のフジの樹勢が弱まり、幹がすぐ横のグラウンドゴルフコースの妨げになっていたことから、同管理委員会で根元を伐採。それでも毎年、美しい花を咲かせ続けているという。

今年も4月末から花を付け始めた。森本さんは「割と長い間、花が楽しめる。もう1本の木のエネルギーを吸っているのかな」と首をかしげる。毎月4回ほど同公園でグラウンドゴルフを楽しんでいるという女性(77)は、「公園に行くたびに、『がんばっているね、偉いね』といって幹を撫でています。本当に不思議で、奇跡ですね」と話していた。

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