田植えをしながら

2017.05.11
未―コラム記者ノート

 京丹波の実家にも田植えの季節がやってきた。私はひたすら草刈り。年に数回しか扱わないくせに、「一人でできるもん」と意地を張ったのがいけなかった。うまく刈れない場所があるのだ。
 “草刈り職人”の母に助言を請うと、「草が悪いんや。気にすな」。なるほど、うまくいかなかったところは草の種類が違った。技量を棚に上げて草のせいにすることにした。
 しばらくするとその草が気になりだす。紫色のかわいい花は何かしら。緑の長いのは白い綿を付けるやつではないかしら。幼いころ、草花と戯れていたことを思い出した。
 田植え機を走らせる父を眺めながら休憩していると、隣に腰を下ろした母が言う。「こんだけやっても、なーんも儲からへん」。ならばなぜ続けるのか、と聞こうとしてやめた。
 日本の食料自給率は40%に満たない。その4割ですら、農家の「やる気」というか「気分」に支えられていると思う。近所でも米作りをやめる人が増えている。日本の農政はどこへ行こうとしているのか。
 目の前でカエルがぴょんとはねた。あれこれ考えるな、と言われているような気がした。(森田靖久)

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