写真・向拝の竜と鳳凰
篠ノ垣集落の道路脇の平地にある神社。境内も神社林も小ぶりだが静かな佇まいである。創建時不詳。宝暦13年(1763)上棟後、文化14年(1817)再建。祭神は木綿積命(オオワタツミノミコト)。隅に小さな社殿が鎮座している。
中に入って驚いた。小ぶりながら立派な社殿。向拝中央に50ほどの竜が居る。頭を右下方に向け、口を大きく開け、舌をピンと立てている。宝珠は空間が狭いのか後ろ手で握っている。髭は銅線である。“いらか”は力強い。その上の獅子噛が下の梁をしっかり噛んでいる。竜の裏面の下の部分に「彫り物師丹州栢原青竜軒刻」の銘が墨書で記されている。また懸魚の鳳凰も迫力がある。木鼻には定番の唐獅子とここでは象がしつらえられている。持送りには、牡丹が見える。脇障子は松と鷹の図である。社殿の上部の木の枠組みが素晴らしい。前途ようよう、6代目、中井権次橘正貞37歳時の力作である。
中井権次研究家 岸名 経夫