潜む血の謎

2017.09.16
未―コラム記者ノート

 「要精検」と書かれた文字を見た時は笑ってしまった。健康診断で「便潜血」に陽性が出たのである。

 笑った理由は、検便を採る際、かなり踏ん張った記憶があったからだ。「ははぁ、切痔か」と思いながらも、心配している風を装って家族や友人に話したのがまずかった。

 「病院へ行け」の大合唱を受けて渋々行くことにしたが、場所が場所だけに憂鬱にならざるを得なかった。

 案の定、先生は、「はい、脱いで」。まずは指をブスリ。続いて、「はい、力まない」。触診を終え、「痔があるね」。そうだと思いました。

 しかし、続きがあった。一応、CT検査をすると告げられたのだ。指に変わって管を入れられ、ガスで腸を膨らませて撮影。心の中では、「痔ですよ」と叫んでいた。

 先日、結果が出た。「隆起性病変(ポリープ)があるね」。そして、先生は優しい声で言った。「医者は見落とすことが一番嫌だから。次は内視鏡がんばろうか」

 痔だと決めつけた自分を反省した。何でもないポリープでありますように。みなさんもお体、ご自愛ください。(森田靖久)

関連記事