華麗と加齢

2017.09.02
未―コラム記者ノート

 「家でちょっとつまずいただけで、ねんざした」という60歳代の女性の話を聞き、同じ年代として同感を覚えた。

 その女性との会話のなかで、「ほんまに油断できへん。体も気力も衰える。気になることがあったら、なかなか切り替えができず、胃も心ももたれる」と返し、大笑いになった。

 「加齢」という言葉は、「華麗」に生きてきた人ほど重みを増す言葉なのかも知れない。一方では、若いころから飾り気なしに、素朴に生きてきた人は、加齢もどこ吹く風。「あの人の話を聞きたいな。食事でも一緒に…」と思われ、友だちも多く、豊かな人生を味わっている。そんな人に何人も出会ったが、さわやかな雰囲気を感じた。

 過去にとらわれ過ぎず、現実のありのままを見つめながら、日常生活のなかで、自己鍛錬を怠らないようにすれば、有意義な老後をおくれるだろう。逆になれば、いわずもがな。

 猛暑の8月が過ぎ、秋風が頬を優しくなでる季節。人と人を結ぶ風が届くように、思いやりとゆとりを持って歩みたい。「秋風が心をいやす窓の外」。(臼井 学)

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