京丹波町蒲生野を起点とする北行き国道27号の富田を左折して、しばらくして目に入る鮮やかな朱色の鳥居を潜ってすぐの所に佇む神社である。祭神は水分神(みくまり)。創建時や沿革は不詳。旧山内庄山王七社の一つで、瑞穂町の二宮神社とは兄弟社である。天保4年(1833)の改修であり、三間社流れ造りの本殿は威風堂々とした立派なものである。平地の神社林としては奥行のある厳粛な雰囲気がある。
社殿の大きさに比してここは彫り物が少ない感じだ。向拝中央には2メートルは優に有る竜の彫り物があり、左下方に睨みを利かしている。宝珠を中央に、骨太の“いらか”をピンと立て。銅線の髭を生やしている。木鼻にはやや内向きの唐獅子と外向きの象の霊獣がいる。妻飾には大きく羽を広げた鳳凰が見える。その下の頭貫には2頭の麒麟、波に浮かぶ鸚鵡、牡丹と山鳥が居る。氷上郡柏原住中井権次正貞の銘がある。
中井権次研究家 岸名経夫