桑原地区の道路沿いに、立派な鳥居がある。そのわきの参道に通じていく所に重みのある感神社と刻銘された記名石があり、大正3年作成のものだ。総計80段ほどもある石段をのぼって境内に着く。創建は17世紀前半頃か。その後、数回改築後、明治35年(1902)にも改築。
石段を上がって、向拝部分をまず見上げる。頭貫に小振りな竜の彫り物が設えられている。左上空を睨み、あたりを威嚇している様だ。目尻は鮮やかな朱色が残り、髭は銅線を用い、“いらか”の鑿の切れは素晴らしい。木鼻には阿吽の呼吸の象の聖獣がいる。兎の毛通しの鳳凰は今にも飛び出しそうな躍動感がある。龍の裏面の左下に、彫物師丹波国氷上郡柏原中井権次正胤の朱色の銘があり、彫り物数は少ないが彼の力作である。本殿の彫り物は大正時代で、檜作りで時代が新しい。この感神社は、京都の八坂神社内の感神院にその名が由来している。
中井権次研究家 岸名経夫