小宮屋根など銅版の盗難が5、6月に神社で2件発生した丹波市で、これとは別のお堂で、綱を揺すって音を鳴らす法具の鰐口が盗難被害に遭っていたことが分かった。
盗まれた鰐口は鉄か銅の鋳物と見られる。神社の事案との関連は分かっていないが、被害に遭ったお堂も民家から離れた場所にある。
山南町五ケ野の岩屋山。毎朝散歩している近くの女性が5月1日、お堂に掛かっていて吊るした縄で打ち鳴らす鰐口がなくなっているのに気付いた。お堂は2つあり、1つずつ掛かっていたものが消えていた。前日朝にはあったことが確認されている。地元の男性(60)によると、鰐口をお堂に引っ掛けるための金属のくさりを切った残骸が残っていたという。
地元五ケ野自治会と、5集落でつくる牧山開発委員会が、20万円余りの費用を折半し、7月8日の護摩法要に間に合うように青銅の鰐口を新調した。
岩屋山は、深い山にあったものを1955年に平地に下ろし、まつっている。盗まれた鰐口はその時に新しくされたものか、山にあった頃からのものだったか定かでなく、男性は「盗まれると思ってもみなかったので記録写真がない。里でまつって60年余り、こんな事になり非常に残念」と言葉を絞り出した。
丹波署によると、6月29日までに岩屋山と神社2件以外の被害情報は入っていないという。同署は窃盗容疑で捜査している。