平成30年7月豪雨災害で大雨特別警報が発令され、床上・床下浸水など多数の被害があった兵庫県丹波市で、市民に警報発令などを伝える防災行政無線放送が、装置の通信障害によって一部地域で流れないという事態が起きていたことがわかった。
放送が流れなかったのは、同市の山南地域全域(4478世帯、1万1398人)で、6日午後6時45分から8日午後8時までの丸2日間。
この間、同市では7日午前0時41分に土砂災害警戒情報、1時22分に大雨特別警報が発令。これらの発表に加え、避難指示の解除、災害ボランティアセンターの開設といった情報が同地域で流れなかった。同地域の北和田地区の5―7日の72時間雨量は499ミリだった。
同市によると、市役所から発信した電波を同市山南支所の接続装置が受信したものの、音声を流す放送卓との間で障害が発生し、音声が流れなかったという。接続装置の電源を入れ直し復旧した。
防災行政無線のデジタル化を進めており、6月25日から新システムで運用を始めた。5日夜に大雨の注意喚起を防災行政無線で流したところ、同市市島町の住民から「音声が聞き取りづらい」と連絡があり、6日午後6時半ごろに6月24日まで使っていた旧システムに一時的に戻した。この時、支所で音声が流れるかの確認作業が抜け落ちていた。
8日午後8時、山南地域に災害ごみの持ち込み放送を流した後に、住民から同ごみに関する問い合わせがあり、放送が流れていないことが発覚した。
同市の谷口進一市長は11日に市役所で会見し、「大雨特別警報が発令されている中で流す防災情報は極めて重要で、確実に市民に届けなければならないことと、防災行政無線のシステムは切り替え途中で、その運用は細心の注意を払わねばならないという重要な認識が欠如していたと言わざるを得ない。二度とこのような事が起きないよう職員一同決意を新たにする」と謝罪した。