兵庫県篠山市の市名を「丹波篠山市」に改称しようとする市名変更問題を巡り、住民投票を求めて実施に必要な署名を集めていた住民団体「市名の名付け親になろう会」が10日、篠山市民センターで記者会見を開き、「1万人を超える署名が集まった」と発表した。規定の署名数を超えているため、同市初の住民投票が実施されることはほぼ確実。同会は14日にも市選挙管理委員会に署名を提出し、審査を経て正式な署名数で市長に住民投票の実施を請求する。
同会では、市名の変更の賛否にかかわらず、「市名は、市長と議会だけで決めるのではなく、市民みんなで考える問題」として住民投票の実施を求め、署名活動をスタート。同会メンバーや協力者600人が戸別訪問などを行ったほか、33カ所に署名所を設けた。
結果、今月9日までの1カ月間で有権者1万669筆(同会による速報値)の署名を集めた。重複などを除くと1万280筆になるという。
市の常設型住民投票条例では、住民投票の住民請求には有権者の5分の1(7066人)が必要だった。
今後、同会が署名を提出した後、市選管が20日以内に重複がないかなどをチェックし、1週間の縦覧期間を経て、同会が5日以内に市長に本請求を行う見通し。
その後、市長は90日以内に住民投票を実施しなければならないため、11月中か12月ごろになるとみられる。
仮に賛成が反対を上回り、変更が決まったとしても、周知期間などを考えた場合、「元号が変わる来年5月1日の変更」を目指していた市の計画は暗礁に乗り上げる。本来、市は現在、開会中の市議会9月定例会に変更条例の提案を目指していた。
また、反対が賛成を上回った場合でも、市は法的な力を持たない住民投票を無視して変更を目指すことも可能だが、最終的には議会の議決が必要になる。
他の選挙と同時ではなく、住民投票単独での実施には約2600万円がかかる。また、投票率が50%未満の場合は開票もされない。