光と影

2019.02.10
未―コラム記者ノート

 篠山市長選挙、市議会議員補欠選挙を前に、市の課題を探ろうと10軒ほどの小規模自治会の会長さんに村の現状について話を聞く機会を得た。日本遺産の認定、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟、市名変更―。外に向けた発信力を強めている篠山市だが、一方で過疎化が深刻な集落の様子が気になっていた。

 高齢化が進むある集落は、活性化に向けて動き出す活力がすでに乏しくなっていた。もう一つの集落は、7軒しかないものの戸数が少ないことをメリットに変えて、コミュニケーションを取りながら住みよい村をめざしていた。

 前者は、画一的な施策ではなく、それぞれの村の事情にあった市のサポートを求め、後者は、行政の施策に頼り、手続きに労力を取られるくらいならと、身の丈に合ったやり方を選択している。

 つまり行政は、小さな村に対して、きめ細やかな施策が打ち出せないまま、ずるずると過疎が進んでいったのだろう。

 光が強いほど、影は濃くなる。篠山市はこのまま廃村を生み出すのか、小集落に優しい光を注ぐのか。注目したい。(芦田安生)

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