自宅で生活する高齢者を支えようと、兵庫県丹波市市島町の高齢者総合福祉施設「丹寿荘」(植木直子所長)が、同市内では初めてとなる定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業「ラウンド・ケア・サービス丹寿」を始めた。同施設のヘルパーが定期的または随時に高齢者宅を訪問し、安否確認や排せつ・服薬の介助などのサービスを24時間体制で行う。必要に応じ、提携先の訪問看護事業所の看護師が訪問し、褥瘡の処置や点滴管理などにも対応する。
同施設のヘルパー10人ほどが交代で勤務。訪問看護は、「訪問看護ステーションのどか丹波営業所」(同市春日町野村)の看護師が対応する。
提供するサービスは、▽一日に複数回、決まった時間に訪問する「定期巡回」▽ボタンを押すと丹寿荘と連絡が取れる「随時対応」▽転んで起き上がれないなど急な事態に訪問する「随時訪問」▽必要に応じて看護師が訪問する「訪問看護」―の4つ。服薬のタイミングに訪問して飲み忘れの防止につなげたり、24時間体制で介護と看護による頻回訪問を行うことで、自宅での看取りを実現するなど、これまでの訪問介護では対応しきれなかったケースにも対処する。
利用料は介護度別に月々の定額制。「訪問介護」は5666円―25690円、「訪問看護」は2935円―3735円で、介護度が上昇するにつれて料金も上がる。いずれも月に何度利用しても料金は加算されない。サービスの対応地域は、同市内の市島、春日の両地域のみ(同施設から片道30分以内)。
高齢化が進む中、高齢者を見守るシステムをつくることで、少しでも長く住み慣れた自宅での生活を支援しようと、同事業を導入。植木所長によると、同事業は、訪問への移動距離が長くなる地方での実施は珍しいという。
このほど、丹寿荘で関係者を招いた開設式を行った。植木所長は「新たなサービスに意気込むとともに、責任を感じている。地域の人が住み慣れた丹波市で長く生活ができるよう、力を発揮したい」とあいさつした。