季節の移ろい感じて
木々の枝葉や木の実、野に咲く草花など身近な自然素材を使って、リースや人形、オブジェ、ブローチなど作って楽しんでいる。「作品作りはもちろん、素材探しもまた面白い。野山で出合う自然の造形を眺めていると、アイデアが次々にわいてきます」とほほ笑む。
ススキやチガヤの穂で羽毛を表現したフクロウ人形は、目はドングリの帽子(殻斗)とフウセンカズラの種で、鳥の特徴のうろこ状の足は桜の花芽で再現。かわいらしさの中にリアルさを追求した秀作だ。
子どものころから物を作ることが好きだった。20歳で結婚し、外へ働きに行きながら家事に百姓に、という多忙な日々に趣味を楽しむという感覚は遠のいた。しかし、30年ほど前から、「辛いことがあっても何かを作っていると集中し、ひと時でも忘れることができる」と、家族が寝静まった頃合いを見計らって、ものづくりに取り組むようになった。
「完成したら人にあげることが多いです」。勤め先の上司の退職祝いや、従業員の誕生日にプレゼントしたこともしばしば。「喜んでもらえることが励みになって」。知人の紹介でJAの味土里館で販売していた時期もあった。
これまで人に教えたことなどなかったが、先日地域の小学校の親子活動で講師を務める機会があった。「親子が夢中になって楽しんでいる姿にうれしかったぁ」と振り返る。
「自然素材を使うので、ひとつとして同じものができないのが魅力。季節の移ろいを感じることもでき、創造力をめぐらせながら作るので認知症予防にも効果があるかなあ」と笑う。73歳。