児童見守り「立ち番」31年 80歳のおじいちゃん「平成終わっても続けたい」

2019.03.31
ニュース丹波市地域

横断旗を掲げ、児童の横断を見守る交通立ち番ボランティアの伊藤武男さん=2019年3月22日午前7時44分、兵庫県丹波市氷上町桟敷で

「おはよう」「いってらっしゃい」―。目立つ緑の蛍光の帽子とジャンパー姿で黄色の横断旗を掲げ、元気に児童たちが横断歩道を渡るのを見守る兵庫県丹波市氷上町の伊藤武男さん(80)。同町幸世地区で平成元年から31年、交通立ち番を続けている。平成30年度の終業式があった3月22日朝も、はつらつとした声で子どもを送り出した。

 

会社員時代は立ち番後に出社、現在はボランティアで

 49歳の会社員だった昭和64年(1989)に交通指導員に。当時は立ち番をした後、始業に間に合うよう出社した。平成11年に定年退職、平成16年の丹波市発足時に指導員を退任。以降はボランティアで自発的に続けている。

 遅くとも午前5時半には起き、7時前に家を出る。県道の交差点付近に午前7時、続いて近くの公民館前に同7時20分に立ち、児童の横断を助ける。

「同じ顔が、毎日同じ時間帯に通行する。ドライバーが『ここは横断場所や』と覚えてくれて停まってくれる。手を振ったり、会釈をしてくれる人もあり、うれしく思っている」

旗を掲げるとスピードを上げる車もある。「急いでいる人もあり、十人十色」。停車してもらえると油断せず、道路脇で旗を掲げ、車の停車を確認の上児童を渡すことを徹底している。伊藤さんと道路を挟んで立ち番をするPTAの当番は、伊藤さんが動き出すのを見て旗を掲げる。

毎年、年度末に、地元の北小学校児童から感謝の手紙を受け取る。小学生が高校生となり、自転車通学をする際にあいさつしてくれる。昨年は、赤ちゃんを抱いた若い母親が「子どもの頃にお世話になった」と声をかけてくれた。「子どもと関わるのはおもしろいし、長くやっているとうれしい事がたくさんある」とほほ笑む。「子どもの安全安心と、自分の健康のため体力が続く限り続けたい」と、新元号になっても続けるつもりだ。

関連記事