陸王に続け「こはぜ」の老舗が新商品 手甲ヒントに現代病に挑戦 パソコンで酷使の手首負担軽減

2019.03.22
ニュース丹波篠山市地域

パソコンなどによる手首の疲れを軽減する「リストウェア」

和装や地下足袋などの留め具に使われる「こはぜ」によるさまざまな商品開発を手掛ける兵庫県篠山市の「青山産業研究所」(久保佳代社長)が、スマートフォンやパソコンを長時間使用することによって生じる手首の疲れを緩和するサポーター「リストウェア」を開発。クラウドファンディングで資金を募っており、目標8万円に対して19日時点で93万円が集まるなど、話題を呼んでいる。こはぜによる抜群の安定感に加え、綿を仕込んだ心地良さが特色。現代病とも言われる手首の疲労に日本の伝統的な技術で挑む。

青山産業研究所が開発した「リストウェア」を手にする久保社長。縦に並んでいる金色のパーツが日本伝統の「こはぜ」=2019年3月18日午前10時58分、兵庫県篠山市東吹で

パソコンなどのデスクワークによる手首の疲労感の改善に自社製品が役立たないかと考え、大工などの職人が身に付ける「手甲」をヒントに開発した。留め具にこはぜを使用した手甲は、外傷から手首を守ったり、防寒などのほか、太鼓をたたくときなどに手首を安定させる効果がある。

付け外しの手軽さではマジックテープに及ばないものの、こはぜならではの耐久性と安定感で長時間の装着にも耐えられる。

同社では、「安定感はあっても、長い時間はめていると窮屈に感じるといったことのないようにしたい」と、富士綿業(同県丹波市)とタイアップし、こはぜの中に綿を入れることで、手首の負担を和らげつつ、心地よさが保たれる製品に仕上げた。

こはぜづくりで100年の伝統がある同社の技術力の中で培われた新商品。兵庫県中小企業団体中央会の支援を受けたほか、クラウドファンディングサービス大手の「MAKUAKE」(マクアケ)で1個3600円―4860円の支援を求めている。

クラウドファンディングに申し込んだ人からは、手首の痛みに悩まされてきたというコメントが寄せられており、「こはぜという伝統的なものから、新しい形で承継されていくことがすばらしい」「一日中、机に向かって仕事をしているので、リストウェアを着脱することで、オンとオフの切り替えにできそう」などと期待する声が上がっているという。

こはぜといえば、池井戸潤さんの人気小説「陸王」に登場する足袋製造会社「こはぜ屋」が知られる。作品では同社が足袋製造で培った技術を生かしてランニングシューズを製造した。こはぜ屋と同様、老舗こはぜ業者が作るリストウェアが第二の「陸王」を目指す。

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